Western Digital WD Red Pro NAS 内蔵ハードドライブ HDD - WD122KFBX

本製品はCMR（Conventional Magnetic Recording）方式を採用しており、SMR（瓦記録）方式ではありません。CMR方式は、SMR方式に比べて書き込み性能が安定しており、特に頻繁なデータ書き換えやRAID環境での使用において、パフォーマンスの低下が少ないという利点があります。NAS用途では、データの整合性と安定した性能が求められるため、CMR方式の採用は大きなメリットと言えます。

WD Red Proシリーズは、24時間365日の連続稼働と高負荷ワークロードに対応するよう設計されており、NASシステムに最適化されています。これは、データセンターや企業で利用されるニアラインHDDの特性と合致しており、高い耐久性と信頼性を提供します。一般的なデスクトップPC用HDDとは異なり、長期間にわたる安定稼働が期待できるため、重要なデータを保存するNAS環境に非常に適しています。

NAS環境では複数のHDDが近接して動作するため、HDD間で発生する振動が性能や信頼性に影響を与える可能性があります。WD Red Proシリーズは、RAID最適化NASシステム用と明記されており、振動補正機能が搭載されていると推測されます。これにより、HDDが動作中に発生する微細な振動を検知し、ヘッドの位置を正確に保つことで、データの読み書きエラーを最小限に抑え、安定した動作を維持します。

本製品は年間550TBという高いワークロード率に対応しており、これは長期間の連続稼働を前提とした設計であることを示しています。MTBF（平均故障間隔）の具体的な数値は記載されていませんが、このワークロード率は非常に高い信頼性と耐久性を持つことを強く示唆しています。NAS用途ではデータの可用性が重要であるため、高MTBFモデルであることは大きな利点となります。

本製品は512MBという大容量のキャッシュメモリを搭載しています。キャッシュメモリは、HDDの読み書き速度を向上させるために一時的にデータを保存する役割を果たします。特に、頻繁にアクセスされるデータや小さなファイルのランダムアクセスにおいて、キャッシュの存在は体感速度に大きく影響します。マルチユーザー環境や仮想化環境など、高負荷なNAS運用において、この大容量キャッシュはパフォーマンスの安定に貢献します。

本製品の仕様には、ハードウェアレベルでのデータ暗号化機能に関する明確な記載がありません。データ暗号化機能は、HDDに保存されたデータを不正アクセスから保護するために重要ですが、この機能が必要な場合は、NASシステム側でのソフトウェア暗号化や、別途暗号化対応のHDDを選択する必要があります。機密性の高いデータを扱う場合は、この点に注意が必要です。