FEIFANKE TIG200P AC DC TIG溶接機

アルミ溶接に不可欠な交流TIG溶接機能は、アルミニウム表面に形成される強固な酸化膜を効果的に除去しながら溶接を行うための核心技術です。直流溶接ではこの酸化膜を破ることが困難ですが、交流電流のプラスとマイナスが交互に入れ替わる特性を利用することで、溶接時に酸化膜を剥がす「クリーニング作用」と、母材を溶融させる「溶け込み作用」を同時に実現します。これにより、高品質で美しいビード（溶接痕）を形成し、アルミニウム特有の光沢を保ちながら、強度のある溶接が可能になります。特に、交流の波形バランスや周波数を調整できる機能が搭載されているモデルでは、溶け込みとクリーニング作用のバランスを細かく制御できるため、薄板から厚板まで様々な厚みのアルミ材に対応し、最適な溶接品質を追求できます。初心者の方でも安定したアークで作業しやすく、プロのような仕上がりを目指せる重要な機能です。

高周波スタート機能は、TIG溶接において非常に重要な機能であり、タングステン電極を母材に接触させることなくアーク（放電）を発生させる技術です。従来の「擦りスタート」方式では、電極がワークに触れることでタングステンが溶け落ち、溶接部に不純物として混入するリスクがありました。しかし、高周波スタート機能があれば、電極と母材の間に高電圧・高周波の電気を瞬時に流すことで、非接触でアークを安定して発生させることができます。これにより、溶接部の汚染を未然に防ぎ、クリーンで高品質な溶接を実現します。また、タングステン電極の消耗を抑え、電極の寿命を延ばす効果もあります。特にアルミ溶接では、非常にデリケートな作業が求められるため、この機能は溶接品質の向上に大きく貢献します。初心者の方でもスムーズにアークを発生させることができ、溶接作業のストレスを軽減し、より集中して作業に取り組むことが可能になります。

パルス溶接機能は、溶接電流を一定の周期で「ピーク電流（高い電流）」と「ベース電流（低い電流）」に交互に切り替えることで、入熱量を細かく制御できる高度な溶接技術です。特にアルミのような熱伝導率が高く、熱による変形（ひずみ）が発生しやすい素材の溶接において、その真価を発揮します。ピーク電流で溶け込みを確保し、ベース電流で溶接プール（溶融池）の温度を一時的に下げ、冷却時間を設けることで、母材への過度な熱集中を防ぎます。これにより、薄板の溶接で発生しやすい「焼け」や「穴あき」のリスクを大幅に低減し、美しいビードと優れた強度を両立させることが可能になります。また、溶接時に溶融池の制御がしやすくなるため、初心者の方でも安定した溶接作業が行いやすくなります。板厚や溶接速度に応じてパルス周波数やデューティ比（ピーク電流の持続時間）を調整できるモデルでは、より幅広いアルミ材に対応し、高品質な溶接を実現します。

デジタル制御パネルは、溶接電流、電圧、ガス流量、パルス周波数などの溶接パラメータを数値で正確に設定し、視覚的に確認できる機能です。アナログ式のツマミやメーターに比べて、より精密な設定が可能となり、溶接品質のばらつきを抑えることができます。特にアルミ溶接では、わずかな設定の違いが仕上がりに大きく影響するため、デジタル表示による正確な調整は非常に重要です。さらに、溶接条件メモリー機能は、よく使用する溶接設定（例えば、薄板アルミ用、厚板アルミ用など）を複数登録し、必要な時に呼び出すことができる便利な機能です。これにより、毎回パラメータを設定し直す手間が省け、作業効率が大幅に向上します。また、再現性の高い溶接作業が可能になるため、経験の浅い方でも安定した品質の溶接を行いやすくなります。タッチパネル式や大型ディスプレイを備えたモデルでは、直感的な操作が可能で、初めての方でも迷うことなく設定できます。

溶接機は高電流を扱うため、本体の過熱や回路への過度な電流負荷は、故障や火災の原因となる非常に危険な状態です。過熱・過電流保護機能は、これらのリスクから溶接機本体と作業者の安全を守るための重要な安全機能です。本体内部に搭載されたセンサーが、温度や電流値を常に監視しており、設定された安全基準値を超えると自動的に溶接機の動作を停止させます。これにより、内部回路の焼損や部品の劣化を防ぎ、溶接機の長寿命化に貢献します。また、異常を検知した際には、警告ランプの点灯やアラーム音で作業者に通知するため、早期に問題を発見し対処することができます。特に、長時間の連続作業や高負荷での使用時にこの機能は不可欠です。保護機能が作動した後も、本体が適切な温度に戻れば自動的に復旧するタイプが多く、作業の中断を最小限に抑えることができます。安全な作業環境を確保し、安心して溶接作業を行う上で欠かせない機能です。

インバーター制御は、現代の溶接機の主流となっている技術で、入力された交流電源を一度直流に変換し、その後高周波で再び交流に変換して出力する方式です。この技術により、従来のトランス式溶接機に比べて、非常に安定したアーク（溶接時に発生する電気の光）を供給できるようになります。安定したアークは、溶接品質の向上に直結し、スパッタ（溶接時に飛び散る金属粒）の発生を抑え、美しいビード形成を助けます。また、インバーター制御は電力変換効率が高いため、消費電力を大幅に削減できる「省エネ設計」にも寄与します。これにより、電気代の節約につながるだけでなく、発熱量が少ないため本体の小型・軽量化も実現し、持ち運びや設置が容易になります。騒音も低減される傾向にあるため、作業環境の改善にも貢献します。省エネ性能が高い溶接機は、環境への配慮だけでなく、長期的な運用コストの削減という点で、初心者からプロまであらゆるユーザーにとって大きなメリットとなります。