HIKMICRO B10S サーモグラフィー

本機は2MPの可視光カメラを搭載し、サーマル、可視光、融合、PIPの4つの画像モードをサポートしています。特に融合（フュージョン）モードやPIP（ピクチャーインピクチャー）モードを使用することで、赤外線画像と可視光画像を重ね合わせて表示できるため、温度異常箇所が現実空間のどこに位置するかを視覚的に正確に把握できます。これにより、診断の正確性が向上し、報告書作成時の説得力も高まります。初心者でも異常箇所の特定が容易になり、専門的な作業効率を高める上で非常に有効な機能です。

本機はスマートフォン連携機能を搭載していません。スタッフの確認結果でも、スマホアプリへの接続設定が表示されず、非対応機種であることが示唆されています。そのため、リアルタイムでの画像転送や遠隔操作、スマートフォンアプリを通じたデータ管理やレポート作成はできません。撮影した画像は本体の16GBメモリに保存し、PCへの転送はUSB-A to USB-Cケーブルを介して行う必要があります。現場での即時共有や、より高度なデータ分析をスマートフォンで行いたいユーザーにとっては、この点が大きな制約となります。

本機は、設定した温度範囲を超過または下回った際に、可聴アラームと警告灯でオペレーターに知らせる機能を備えています。これにより、電気設備の過熱、配管の異常冷却、建物の断熱不良など、危険な状態や異常な温度変化を迅速に検知し、見逃しを防ぐことができます。特に、監視業務や予防保全において、作業者の負担を軽減し、安全性を高める上で非常に有効な機能です。異常発生時に即座に気づけるため、迅速な対応が可能になります。

本体にLEDワークライトが搭載されており、暗くて届きにくい場所でも対象物を明るく照らすことができます。配電盤の内部、天井裏、地下ピットなど、光が不足する環境での作業時に、可視光画像撮影の補助や、熱画像と重ね合わせる際の視認性確保に役立ちます。これにより、暗所での対象物特定が容易になり、安全かつ正確な診断作業を実現します。目視での確認が難しい場所でも、この補助ライトがあることで作業効率が向上します。

本機は調整可能な放射率設定に対応しており、測定対象の素材（例：木材、コンクリート、金属など）に応じて最適な放射率を選択できます。これにより、より高精度な表面温度測定が可能です。放射率は、物体が熱を放射する能力を示す重要な要素であり、これを適切に設定することで、測定結果の信頼性が大幅に向上します。専門知識がないユーザーでも、簡単な操作で対象物に適した設定を選べるため、幅広い用途で安心して高精度な温度測定が行えます。