RODE Microphones NT55 Matched Pair

NT55は、付属のNT45-Oカプセルを使用することで、カーディオイド（単一指向性）と無指向性を切り替えることができます。単一指向性では、マイクの正面からの音を重点的に拾い、周囲のノイズを軽減します。一方、無指向性では、全方向からの音を均等に拾うため、部屋のアンビエンスや楽器の自然な響きを捉えるのに適しています。これにより、録音する音源や環境に応じて最適な集音範囲を選択でき、より高品質な録音を実現できます。無指向性カプセルが付属することで、多様な録音ニーズに対応できる点が大きなメリットです。

NT55は、75Hzと150Hzの2段階で切り替え可能なハイパスフィルターを搭載しています。ハイパスフィルターは、低周波ノイズをカットし、よりクリアな音質で録音するために使用されます。例えば、空調ノイズや床の振動、ポップノイズなどを軽減するのに効果的です。75Hzは軽めのカット、150Hzはより強めのカットが必要な場合に使用します。ボーカル録音時にはポップノイズを抑え、楽器録音時には不要な低音をカットすることで、音の輪郭を際立たせることができます。特に宅録環境では、外部ノイズの影響を受けやすいため、ハイパスフィルターは非常に便利な機能です。

NT55は、-10dBのPAD（アッテネーター）機能を搭載しています。PADは、入力音圧レベルを減衰させる機能で、大音量の音源を録音する際に、マイクの過大入力を防ぎ、音の歪みを抑えることができます。例えば、ドラムやギターアンプなど、音圧の高い音源を録音する際に特に有効です。PADを使用することで、マイクのダイナミックレンジを最大限に活用し、クリアで歪みのない録音を実現できます。PADスイッチは、マイク本体に搭載されており、簡単に切り替えることができます。

NT55には、ショックマウントは内蔵されていません。外部からの振動を軽減するためには、別途ショックマウントを用意する必要があります。特に、スタジオでのレコーディングや、振動が多い環境での使用には、ショックマウントの使用を推奨します。ショックマウントを使用することで、床やスタンドからの振動がマイクに伝わりにくくなり、よりクリアな音質での録音が可能になります。RODEからは、NT55に対応したショックマウントが販売されており、組み合わせて使用することで、より効果的な振動対策を行うことができます。

NT55は、1/2インチのコンデンサーカプセルを搭載しています。このカプセルは、NT55のために専用設計されており、高感度で低ノイズな特性を持っています。これにより、繊細な音もクリアに捉えることができ、自然で透明感のあるサウンドを実現します。特に、アコースティック楽器やボーカルの録音において、その性能を最大限に発揮します。また、カプセルは耐久性にも優れており、長期間にわたって安定した性能を維持します。専用設計カプセルは、NT55の音質を支える重要な要素の一つです。

NT55は、アナログ出力のみに対応しています。デジタル出力を使用する場合は、別途オーディオインターフェースなどを使用する必要があります。XLR端子から出力されるアナログ信号を、オーディオインターフェースでデジタル信号に変換し、PCなどに取り込みます。デジタル出力に対応したマイクと比較すると、若干手間がかかりますが、高品質なオーディオインターフェースを使用することで、NT55のポテンシャルを最大限に引き出すことができます。また、アナログ出力ならではの温かみのあるサウンドも魅力の一つです。