InfiRay Xinfrared T2 Pro サーマルカメラ

InfiRay T2 Proは赤外線単眼鏡であり、可視光カメラを搭載していません。そのため、熱画像と可視光画像を重ね合わせて表示するフュージョン機能は利用できません。この機能がないことで、熱異常が検出された際に、それが現実空間のどの位置で発生しているのかを視覚的に正確に把握することが難しくなります。特に、建物の構造物や複雑な配線など、熱画像だけでは判別しにくい対象物の診断においては、この機能の欠如が作業効率や診断精度に影響を与える可能性があります。

InfiRay T2 Proは、専用の日本語アプリ「Xinfrared」を介してiPhone 6s以降のiOSデバイスと連携します。これにより、スマートフォンをディスプレイとして利用し、リアルタイムで熱画像を表示したり、撮影した画像を保存したりすることが可能です。非常にコンパクトな本体とスマートフォンの大画面を組み合わせることで、手軽に熱画像を観察・記録できる点が大きな利点です。現場でのデータ共有や簡易的な報告書作成もスマートフォン上で行えるため、利便性が高いと言えます。

InfiRay T2 Proには、特定の温度範囲を超過または下回った際に警告を発する「温度アラート機能」に関する明確な記載がありません。ホットスポット追跡機能は搭載されていますが、これはあくまで最も温度の高い箇所を自動で追跡する機能であり、設定した閾値を超えた場合に警告する機能とは異なります。そのため、電気設備の過熱や配管の異常冷却など、危険な状態を自動で検知し、ユーザーに通知する機能は期待できません。継続的な監視や予防保全を目的とする場合には、この機能の有無が重要な検討事項となります。

InfiRay T2 Proには、暗い場所での視認性を高めるためのLEDライト補助機能は搭載されていません。本製品はスマートフォンに接続して使用するタイプであり、スマートフォンのフラッシュライトを代替として利用することは可能ですが、カメラ本体に独立した補助ライトがないため、暗所での熱画像撮影時に可視光での対象物確認が困難になる場合があります。特に、配電盤の内部や狭い空間など、光が届きにくい場所での作業においては、別途照明を用意する必要があるかもしれません。

InfiRay T2 Proには、測定対象の素材に応じて放射率を調整するプリセット機能に関する記載がありません。サーモグラフィーカメラで正確な温度測定を行うためには、対象物の放射率を適切に設定することが非常に重要です。この機能がない場合、測定対象の素材が変わるたびに手動で放射率を調整する必要があるか、あるいは放射率の調整自体ができない可能性があります。これにより、測定結果の精度が低下する恐れがあり、特に異なる素材が混在する環境での使用や、精密な温度測定が求められる場面では注意が必要です。