ベッセル(VESSEL) ケーブルストリッパー 3700KM

本製品はケーブルの外径に合わせて刃の食い込み深さを底部のダイヤルで手動で調整するタイプであり、電線の太さを自動的に感知して最適な圧力や深さで剥離するような自動調整機能は搭載していません。これにより、ユーザーは剥離したいケーブルの種類や状態に応じて、ダイヤルを使って慎重に刃の深さを設定する必要があります。様々な太さのケーブルを連続して剥く場合には、都度調整の手間が発生します。

本体にはストリップする被覆の長さを測るための目安となるストリップゲージが付いています。このゲージを使用することで、ケーブルシースを剥がしたい長さを設定し、複数のケーブルを同じ長さに揃えて加工する際に役立ちます。これにより、コネクタ取り付けや端子処理などで要求される正確な剥き長さを比較的容易に再現でき、作業の均一性を保つことができます。ただし、物理的なストッパーなどではなく目安としての利用となります。

このワイヤーストリッパーは、ケーブルの被覆を剥離する作業に特化した単機能ツールであり、電線に端子を取り付けて圧着する機能は備わっていません。端子のかしめ作業を行う場合は、別途JIS規格などに適合した専用の圧着工具を用意する必要があります。これにより、製品の構造がシンプルになり、シース剥離以外の用途には使用できません。

電線を必要な長さに切断するためのカッター機能は搭載されていません。したがって、ケーブルをカットする作業を行う際には、ワイヤーストリッパーとは別に、ケーブルカッターやニッパーなどの適切な切断工具を使用する必要があります。これにより、ストリップ用の刃が切断に使用されることによる摩耗や損傷を防ぎ、本来の剥離機能の精度を保つことに特化しています。

残念ながら、本製品には工具を閉じた状態で固定するための専用のロック機構は搭載されていません。使用しない時や持ち運び・保管時に本体が開いてしまい、誤って刃に触れて怪我をするリスクがあります。保管する際は、刃が露出しないようケースに入れるなど、安全な状態を確保するための配慮が必要です。この点は安全な取り扱いの注意点となります。

剥離したケーブルシースの切れ端を自動的に受け止めたり、収集したりする機能は搭載されていません。作業中に被覆くずが周囲に飛散する可能性があるため、作業場所の清掃が別途必要となります。特に精密機器の近くやクリーンな環境での作業には、被覆くずが飛散しないよう注意するか、都度清掃しながら作業を進める必要があります。構造がシンプルな反面、後片付けの手間が発生します。