マスプロ電工 同軸ケーブルストリッパー TLCS2

本製品は同軸ケーブルの特定のサイズ（主に5C相当）に特化した設計であり、VA線などの多芯ケーブルに対応するような自動ワイヤー径調整機能は搭載していません。同軸ケーブルは種類が比較的少ないため、この機能がなくても特定のケーブル種別であれば問題なく使用できます。シンプルな構造で、迷わず使える反面、対応サイズ以外のケーブルには使用できません。あくまで特定の同軸ケーブル用と割り切った設計です。

本製品は被覆の剥き長さが約3mmに固定されており、長さの調整機能はありません。これにより、同軸ケーブルの加工において、いつも同じ長さで簡単にストリップできるというメリットがあります。しかし、使用するF型接栓の種類や、作業内容によっては、3mmでは芯線の露出が短すぎると感じるユーザーもいます。剥き長さを柔軟に変えたい場合には不向きですが、特定のコネクタには最適な長さかもしれません。多くのF型接栓に対応するためには、この長さを理解しておく必要があります。

同軸ケーブルの被覆剥きに特化した単機能モデルのため、F型接栓などの端子を圧着する機能は搭載していません。被覆剥き作業後、端子の取り付けや圧着が必要な場合は、別途専用の圧着工具を使用する必要があります。これにより、本体がコンパクトに保たれ、ワイヤーストリッパーとしての本来の機能に集中できる設計となっています。多機能を求める場合は、他の複合タイプの工具を検討する必要があります。

電線を必要な長さに切断するためのカッター機能は搭載されていません。電線を切る作業には、別途ニッパーやケーブルカッターなどの工具を用意する必要があります。これにより、ストリップ刃が切断用途に使われることによる摩耗を防ぎ、被覆剥き本来の切れ味を長く保つという設計思想がうかがえます。切断機能が必要な場合は、別途専用工具を用意するか、カッター機能付きの複合工具を選ぶ必要があります。

本製品には、使用しない時にハンドルを閉じた状態で固定するためのロック機構が搭載されています。これにより、工具箱や腰袋に入れて持ち運ぶ際に、不用意に刃が開いてしまい、怪我をするリスクを防ぎます。コンパクトに収納できるため、携帯性や保管時の安全性が向上します。シンプルな機構ですが、工具の安全な取り扱いには欠かせない機能と言えるでしょう。

被覆を剥がした際に出るくずを受け止める収集機能は搭載されていません。作業時には被覆くずが飛散する可能性があるため、作業場所の周囲に注意し、作業後には必ず清掃を行う必要があります。特に屋内での作業や、精密機器の近くでの作業では、被覆くずが入り込まないように十分注意が必要です。シンプルな構造を優先しているため、このような付加機能は省略されています。