フジ矢(Fujiya) ワイヤーストリッパB型 165mm 黒金・バネ付 PP323B-165-BG ブラック

本製品は、剥きたい電線のサイズに合わせて本体に設けられた複数の穴から適切なものを選んで手動でストリップするタイプです。そのため、様々なサイズの電線をセットするだけで自動的にワイヤー径を判断して剥くような機能は搭載されていません。ワイヤー径を正確に測り、それに対応する穴を選ぶ必要がありますが、穴径が電線サイズに対応しているため、適切に使えば芯線を傷つけにくい設計になっています。自動調整機能付きのモデルと比べると手間はかかりますが、構造がシンプルで故障しにくいという利点もあります。

被覆を剥く長さを一定に設定するための長さ調整ゲージやストッパーなどの機構は搭載されていません。被覆を剥く長さは、電線を穴に差し込む深さや、手で保持する位置によってユーザー自身が調整する必要があります。複数の電線を同じ長さに剥きたい場合や、コネクターに合わせて正確な長さに剥く必要がある場合は、目視や印付けなどで長さを確認しながら作業する必要があります。作業の再現性という点では専用の調整機能付きモデルに劣りますが、自由な長さで剥けるという見方もできます。

電線の被覆剥きに特化した製品のため、電線と端子を接続する際に行う圧着（かしめ）機能は搭載していません。圧着作業が必要な場合は、別途専用の圧着工具を用意する必要があります。ワイヤーストリッパーと圧着機能が一体になった複合工具も存在しますが、本製品は機能を絞ることで本体をコンパクトにし、比較的軽量に作られています。主に被覆剥きのみを行う方や、既に圧着工具を持っている方向けの仕様と言えます。

本体の刃元部分に電線を切断するためのカッター機能が付いています。簡易的なものですが、ワイヤーストリッパーとしてだけでなく、必要な長さに電線を切り出す際にも利用できます。ニッパーのような専用の切断工具に比べると切断能力は限定的ですが、比較的細い銅線であれば問題なく切断可能です。これにより、被覆剥きと簡単な切断作業をこの一本で行うことができ、工具の持ち替えの手間を減らすことができます。ただし、太い線や硬い線を無理に切断すると刃を傷める可能性があるため、注意が必要です。

使用しない時にハンドルの開きを防止する簡易的なロック機構（ストッパー）が付いています。これにより、工具箱や腰袋に入れて持ち運ぶ際に、意図せず刃が開いて怪我をするのを防ぎます。また、コンパクトに閉じた状態で収納できるため、スペースを有効活用できます。ただし、ユーザーレビューの中には、このロック機構部分の動作が固い、引っかかるといった報告も見られます。個体差がある可能性はありますが、安全な保管・携帯のために重要な機能です。

被覆を剥がした際に発生するくずを受け止めて溜めるための収集ボックスやカバーなどの機構は搭載されていません。被覆を剥くと、くずがそのまま作業場所に落ちたり飛び散ったりします。特に室内での作業や、電子機器の近くでの作業を行う際は、作業後の清掃が必要になります。被覆くずが入り込むと故障の原因となる場合もあるため、作業場所の養生や、都度清掃を行う必要があります。シンプルな構造ゆえにメンテナンスは容易ですが、くず処理には配慮が必要です。