Nikon COOLPIX B500

本製品はJPEG形式とMP4形式での記録に対応していますが、RAW形式での記録機能は搭載していません。RAWデータは、撮影後に露出やホワイトバランス、色味などを自由に調整できるため、より高度な画像編集や作品作りを目指すユーザーにとっては非常に重要な機能です。RAW記録ができないため、撮影後の画質調整の自由度が制限され、JPEGデータでは失われがちな情報（ハイライトやシャドウのディテールなど）を後から引き出すことができません。主に手軽なスナップ撮影や、撮影後の編集をほとんど行わないユーザーであれば問題ありませんが、本格的な写真編集を視野に入れているユーザーには不向きです。

本製品には、シャッタースピードや絞り、ISO感度といった露出の主要な要素を個別に設定できる本格的なマニュアル露出機能は搭載されていません。露出補正は可能ですが、これはカメラが決定した露出に対して微調整を行うものであり、撮影者の意図を細かく反映させることは困難です。これにより、特定の被写界深度を表現するための絞り設定や、光の軌跡を捉えるための長時間露光など、創造的な写真表現が大きく制限されます。主にオートモードでの撮影が中心となるため、カメラ任せで手軽に撮影したいユーザーには適していますが、写真の基礎を学びたい方や、より表現の幅を広げたい方には物足りないでしょう。

本製品には、外部ストロボを接続するための端子（ホットシューなど）は搭載されていません。内蔵フラッシュは備わっていますが、光量や照射範囲、光の質において外部ストロボには及びません。外部ストロボを使用することで、より自然で美しいライティングを実現したり、バウンス撮影によって影を柔らかくしたりすることが可能になります。ポートレート撮影やイベント撮影など、ライティングにこだわりたいシーンでは、外部ストロボが使用できないことが大きな制約となります。手軽な撮影が主な用途であれば問題ありませんが、本格的なライティングを求めるユーザーには不向きです。

本製品には、レンズに入る光量を物理的に減らすND（Neutral Density）フィルターは内蔵されていません。NDフィルターは、日中の明るい場所でシャッタースピードを遅くして水の流れを絹のように表現したり、絞りを開放にして背景を大きくぼかしたりする際に非常に有効な機能です。また、動画撮影時にも露出オーバーを防ぎ、滑らかな映像を撮影するために役立ちます。この機能がないため、明るい場所での特殊な表現や、動画撮影時の露出コントロールに制限が生じます。外部フィルターを取り付けることもできないため、これらの表現を求めるユーザーにとっては大きなデメリットとなります。

本製品は単三形電池4本で駆動するため、USBケーブルを介したカメラ本体への直接給電や充電機能は搭載されていません。付属のUSBケーブルは主にデータ転送用と考えられます。単三電池は外出先での入手が容易というメリットがありますが、モバイルバッテリーなどからのUSB給電に対応していないため、長時間の撮影や動画撮影を行う際には、予備の単三電池を複数用意する必要があります。USB給電機能があれば、移動中やカフェなどで手軽に充電でき、バッテリー切れの心配を軽減できますが、本製品ではその利便性は得られません。