オーディオテクニカ PRO35 コンデンサーマイク

本製品は単一指向性のみであり、指向性を切り替える機能は搭載されていません。特定の音源を狙ってクリアに録音する用途には適していますが、全指向性や双指向性など、複数の指向性を使い分けたい場合には対応できません。例えば、部屋全体のアンビエンスを録音したり、対談形式で複数の声を拾ったりする用途には不向きです。楽器用としては単一指向性が一般的で十分な場合が多いですが、汎用性を求めるユーザーにはこの点が制限となります。

本製品のマイク本体にはゲイン調整機能が搭載されていません。マイクに入力される音の大きさの調整は、接続するオーディオインターフェースやミキサー側で行う必要があります。これにより、マイク本体の設計をシンプルに保ち、音質への影響を最小限に抑えるというメリットはありますが、マイク側で直接音量を調整したい場合には不便を感じるかもしれません。特に、録音中に素早く音量レベルを調整する必要がある場面では、接続機器の操作に慣れておくことが重要です。

本製品にはウインドスクリーンが付属しており、これによりポップガード機能が提供されます。ウインドスクリーンは、マイクに息や風が直接当たることで発生する「ポップノイズ」（破裂音）を効果的に軽減します。特に、金管楽器やボーカルなど、息の吹き込みが強い音源を録音する際に、クリアな音声を保つために非常に重要です。ウインドスクリーンは着脱可能で、必要に応じて使用できます。これにより、別途ポップガードを用意する手間が省け、すぐに高品質な録音を開始できます。

本製品には専用のショックマウント機能は明示されていませんが、付属のマイクホルダーAT8418が楽器に装着する際に振動を吸収し、ハンドリングノイズや外部からの振動ノイズを軽減する役割を果たすことが期待されます。しかし、一般的なスタンドに取り付けるタイプのショックマウントのような、より広範囲な振動吸収効果は限定的である可能性があります。特に、机や床からの振動が伝わりやすい環境で使用する際には、別途スタンドとショックマウントの組み合わせを検討すると、さらにクリアな音質が得られるでしょう。

本製品にはローカットスイッチが搭載されており、マイクに入力される音の低音部分をカットする機能があります。この機能は、エアコンの稼働音や室内の反響による低周波ノイズ、あるいは楽器の不要な低音成分を軽減するのに非常に有効です。例えば、管楽器の録音時に、不要なブーミーな低音を抑え、よりクリアで引き締まったサウンドを得ることができます。80Hz、18dB/octのローカット設定は、多くの一般的な低周波ノイズに対応できる実用的な仕様です。

本製品には、マイク本体にヘッドホンを接続して録音中の音声をリアルタイムで確認できるダイレクトモニタリング機能は搭載されていません。この機能は主にUSB接続マイクに多く見られるもので、XLR接続のマイクでは通常、接続先のオーディオインターフェースやミキサー側でモニタリングを行います。そのため、本製品を使用する際は、接続機器のモニタリング機能を利用するか、別途ミキサーなどを介して音声をモニターする必要があります。マイク単体での手軽なモニタリングを求めるユーザーには、この点が不便に感じられるかもしれません。